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時は過ぎ、俺達は2次会の会場に居た
雰囲気が随分アダルトになったが、立食スタイルなのは変わらない
店もどうやら同級生の店らしく、お酒と料理だけが置かれたバイキングスタイルで、店員の姿もなかった
幹事の乾杯の後、皆それぞれにくつろいでいる
椅子に座って楽しく談笑してる者も居れば、奥のカラオケルームで大はしゃぎしてる者も居た
2次会もしばらく過ぎた頃、俺は神野の隣に座った
先程と変わらずまだ緊張しているのか、肩がビクビク震えている
そんな彼女の耳元で俺はそっと囁いた
「ホテルでのケーキ、すっごい美味しかった……さすが将軍だね……」
俺が放った何気ない一言
だが、神野の顔がどんどんと紅潮していくのが暗がりの中でもはっきりと分かった
「………ちょっと来て下さいっ……」
「え?……」
神野は俺の腕を掴み、ぐんぐん歩いて行く
そしてそのまま店の奥へ
人気も少ないカウンター入り口脇の壁際へ、俺は追いやられた
壁を背に俺は逃げ場を失う
彼女は震える声で質問した
「………いいっ、いつから……ですか?……」
「へ?……」
「いつから……しししっ、知ってたんですか?……」
緊張した面持ちに震える声、わざと逸らした視線が全てを物語っていた
あぁ……気づかれたくなかったんだ………でも待てよ?……
「あのケーキ食べた時……実はさ、言うの恥ずかしいんだけど……俺、ファンなんだよねぇ~君の料理の……」
照れ混じりに答えると、彼女は唖然とした表情を浮かべている
一瞬引かれたのか?とも思ったが、どうやら違うようだ
「あれ?……びっくりしてんの?……」
俺の質問にゆっくり首を縦に振る
「いやいや……あれだけ登録者居て、ファン居ないわけないじゃん………それに本名って……気付く人は気付くよ?……」
もっともな質問だ、彼女もそれは理解している
「ささっ、最初は……しししっ、知り合いにだけ………見せるだけ……だったんですけどっ…………そしたらいつの間にか……どっ、どんどん増えてて……気付いたら……」
それから先は態度で分かった
頭を抱え、真剣に悩んでいる
だが、俺にとってはとんでもないチャンスだった
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