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「すごい! さすがマルスさん!」
「かっこいい・・・・・・! なんて完璧な戦い方・・・・・・!」
心底鬱陶しいリアクションを取っている味方の二人組みを他所に、俺は周囲に変化が無いか、気配を探っていた。
すると微かに空気の震える感触が肌を伝う。それに気付いたのは俺とただもう一人・・・・・・あれ? コイツ、よく見たら赤い服の・・・・・・全く喋らなかったから気付かなかった。ともあれ俺とソイツだけが異変に気付いていたようだ。
「気を抜くな。まだ何か来るぞ」
俺は二人に注意を促し、振動のある方角へ顔を向けると、彼らもそれに倣う。
すると少し遠くの丘から出てきたのは、緑色の巨人だった。リザードマンとは違って鱗は無く、像のような牙が口から生えている。
「タイタンだー!」
味方のその叫びは間抜けだが、気持ちは全く分からないという程でもない。タイタンは強力なモンスターで、これを撃破するには数十人が必要と言われている。それくらい皮膚が硬く、そして攻撃力も高い。
この敵が出てきてしまっては、今度こそ集落のクリスタルは諦め、ここの全員を連れてどこかへ退避するべきか、という考えが俺の頭に浮ぶ。だが同時に、もしもここを突破できたら、とも思う。
「君、フラッシュは使える?」
俺は赤い服のウィッチに話しかける。いざという時この女が信用出来るかどうかは怪しいが、タイタンを倒すならコイツの手を借りる以外に無い。だが女は俺の言葉に頷きはしたものの、声に出しての肯定はしなかった。
「使った事はある?」
この質問にも頷くだけ。女の態度に内心舌打ちをする。
「それでいこう」
「えっ、それでいこうって、マルスさん?」
「むっ、無理無理無理! 無理ですよ! 大体、フラッシュ使ったってタイタンは倒せないです!」
二人組みは狼狽していた。まぁ、普通そう思うよな。
「大丈夫、なんとかなる。もしダメならすぐに引き返すから、そしたら全員で逃げよう。じゃ、行ってくる」
これ以上の説明は面倒だった。俺はタイタンに向かって駆け出す。
「えっ、ま、マジで?」
「マルスさん! 自分達はなにをしたらいいんですか!?」
俺は二人組みの声を無視しつつタイタンに向かって走り、そしていよいよ互いの距離が近くなっていくと、タイタンは容赦なく大木のような太い腕で俺を殴りつけようとする。
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