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「その女、今お前が滞在している場所の近くに住んでいるようだな」
頼んでもいないのだが、マーティンは軽くあの女の情報を調べているようだ。
「もしもあのフラッシュが偶然でないのなら、そのエリーという女のクランでの階級を上げるべきだと?」
「ああ、私はそのように考えている。他のクランに移籍されたりしないようにな」
「あー……ははっ、いや、多分それはないぜ」
「なに、どういう意味だ?」
そこでマーティンの姿を映している画面の隅で、赤い表示が点滅する。どうやら誰かの通信を待機している状態を示しているらしい。
「丁度いい。用件も殆ど済んだ。私はこれで失礼する」
「あ? ああ、悪いなマーティン」
「気にしなくていい。ではな」
マーティンとの通信を終え、画面を切り替えると、そこには胸元のぱっくりと割れたドレスのような服を着た派手な女が映し出された。
「ジョン! 最っ高にクールな戦いだったわ! ホント、あなたってステキよ!」
「やあ、ジョスリン。そう言ってくれるのは嬉しい気持ちもあるけど、俺ってあんまり褒められるのは得意じゃないんだ」
「あら、そうなの?」
「褒める方が好きなんだ。ジョスリン、今夜の君も素敵だ。会いたくなってきたよ」
「まっ・・・・・・!」
女は先回りするに限る。ましてこの時間に連絡してきたという意味は一つしかないため、男の俺から切り出すことにした。
「待ってて! すぐにそっちへ行くから!」
彼女はまるで落ち着きのない様子で通信を切った。俺はそれを鼻で笑い、彼女が到着する前に引っ込むよう秘書に伝える。
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