第1章 スタープレイヤー 1

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 「――で、アライアンスが?」  「ああ、このままいけば我々のクランはメディチとアライアンスを組むことになるが、実際そうなる前に看板である君の意見を聞いておこうと思ってな」  「なるほどね。あ、ああー・・・・・・」  「どうした?」  「いや確かに、引っ掛かる事があるのを思い出した。先週か、要塞攻略前の下準備として敵の集落を一つ落としたけど」  当たり前だが、これはケンタウルス内での話だ。  「ああ、それが?」  「その場に、確か以前にメディチから移籍してきたウィッチの女が居たんだけど・・・・・・、名前は忘れた。赤い服着た根暗そうな女。ああ、俺まずあのフンイキがキライ、なんだけど」  「君の好みはともかく、そのプレイヤーの名前はおそらくエリーだ。君の言う通り、かつてはメディチに所属していた」  「ああ、やっぱそうなんだ。それでその、ミズ・エリー? が、集落を落とすときに、なんかイヤだーみたいなこと言ってたんだ。無抵抗な相手にどうの、って」  「そうなのか? 私は聞いていなかったが」  「まぁ、動物愛護とかの観点から野生動物がーとか、家畜がーとか言うならまだ話は分かる。それなら一定の理解はしたいし、必要なら協力だってする。けど、アレってゲームの中での出来事だぜ」  「ああ」  「うぜえ。さすがにイラってするっつの。メディチがあんなんばっかなら俺はやってらんねえぞ。冗談じゃねえ。うん、話やっと繋がった」  「分かった。アライアンス締結の際にそれは確認しよう。問題無ければそのまま締結し、あれば条項に付帯事項を加える。ただ」  「ん?」  「その女、ただの変わり者だろう。メディチはもっと殺伐としているぞ」  「そうなのか。ああ、なら確認はしなくても」  「いや、君に媚びへつらおうとは思わないが、君が気分良くプレイ出来ないようであれば我々の活動にも大きな影響が及ぶ。確認は必ず行おう」  「Thanks,マーティン!」  「ではこれで失礼する。次にケンタウルスで会うのは明日か?」  「あ? なんで? この後すぐだろ。・・・・・・あ、そうか、クソ」  「下品だぞ。それと、今日の予定は大事だ。忘れて貰っては困る。存分に義務を果たしてきてくれ」
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