第1章 スタープレイヤー 2

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 記者の質問は如何にも当たり触り無いもので、あからさまに前置きだった。しかしもうこうなってしまっては手遅れで、俺はこの場から逃げることは出来ない。スタープレイヤーの義務だ。  「それで、ジョン――」  「悪いけど事務所通して」  しまった! 無意識の内に逃げを打ってしまった。これには流石にクリスも苦笑いだ。いや、今ならまだ冗談に出来る。  「イッツジョーク。俺と君との仲じゃないか。で、なんだい?」  「女優のアンナ・キッドマンとの交際が噂されてるみたいなんだけど、ジョスリンとはどうなったの?」  「アイ、アー・・・・・・なぁ、俺と君との仲だからこそ、遠慮を覚えるってことは出来ないか? いくらなんでもストレート過ぎねえ?」  「どうなの?」  舐められてるのか、それともこれぞ記者のメンタルと賞賛すべきか、ともかく彼に引く様子は無いようだ。とはいえ、こちらとしても正直に答えることなんて出来ない。なにせ俺が今付き合ってるのは女優じゃなくてモデルだ。  「確かに、アンナとは個人的に仲良くしてるけど、でもそれだけ。これは本当のことだ。それにもしジョスリンとの関係に何か変化があったなら、その時は君だけに隠さず教えるよ」  今答えることが出来る全てを彼には話した訳だが、するとその記者は自分の後ろに居るカメラマンに合図をし、撮影を中断させる。  「実際のとこはどうなの?」  こういうやり取りは持ちつ持たれつな訳で、癪だが今回の取引も決して悪いものではない。俺は応じることにした。  「ハメられたんだよ。一回、その、まぁ、色々あって。気付いたときには相手が意地になってた。法的措置を取ろうとまでは思わないけど、少なくともこれ以上親密になるつもりはねえなあ。お前も、次にネタあったらそっちをやるから、この話は終わりにしろよ」  「なんで?」  「なんで、って。普通に恥ずかしいんだよ」  「ふうん? いや、分かった」  納得した記者はカメラマンに合図し、彼らと共に他のセレブへ声を掛けに行ったようだ。  「結婚とかしないのかい?」  隣に並ぶクリスは、これまた能天気な顔して聞いてくる。  「するわけなくねえか? あんなうざい女。つか俺、多分どんな女とも結婚はしねえ。いつか子供は欲しいけど」
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