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突然の出来事に紗弥加は驚きの表情で尋ねる。
「もちろん。他に誰がいる?」
「ありがとう。よろしくお願いします」
この時の紗弥加は瞳に大粒の涙をたくさん流していた。
「そんな泣くなって」
「だって拓海と結婚できることがうれしいんだもん」
「それより普通過ぎるプロポーズでごめんな。もっとサプライズとか考えたんだけどなんか自分で考えておきながら恥ずかしくなっちゃって」
照れ笑いを浮かべる拓海に嬉しそうに紗弥加は応える。
「ううんそんなの良いの。拓海と結婚できるならそれだけで充分」
「明後日は日曜日だから紗弥加のご両親にあいさつに行こう。そのあと結婚式の予定とかいろいろ決めて行かないとな? とにかく明後日予定を聞いておいてくれないか。もし都合が悪ければ年が明けてからでもいい、でもなるべく早いうちに挨拶に行こう」
「分かった、聞いてみるね」
翌日紗弥加が実家の奥村家へと電話をかけると、その電話に出たのは母親の香織であった。
『はい奥村ですが』
「お母さんあたし、紗弥加よ」
普段はあまり電話もかけてくれない紗弥加からの突然の電話にこの時の香織は驚いていた。
『どうしたの突然電話なんてかけてきて、いつもは滅多に電話なんてかけてきてくれないのに。何かあった?』
「あのねお母さん、急なんだけど明日実家帰ってもいいかな? 会ってもらいたい人がいるの」
その言葉に香織は何か予感のようなものを感じていた。
『それって、そういうことなの?』
その問いには返事をせず、実家に帰ることだけを告げる紗弥加。
「とにかく明日帰るから」
そう言って電話を切った紗弥加。
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