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「申し訳ありません。では単刀直入に言います。本日は紗弥加さんとの結婚のお許しをいただきにまいりました。紗弥加さんを僕に下さい」
ここでも難癖をつけてしまう孝之。
「まて、紗弥加は物じゃないんだ、くださいなんて言い方はよせ」
「またお父さんたら、娘を嫁に出したくないからってなにかしら文句をつけて。ごめんなさいね拓海さん」
「いえとんでもありません、確かに言い方が悪かったかもしれません。娘さんと結婚させてください、お願いします」
そう言うと後ろに下がり敷いてあった座布団から降りると深々と頭を下げる拓海。
「お父さんもういいんじゃない? 二人の結婚を許してあげましょう」
「そうだな、許すとするか」
「ほんとお父さん」
満面の笑みで尋ねる紗弥加であったが、それにはまだ続きがあった。
「ただそれには条件があるが聞き入れてくれるか?」
「何でしょうその条件とは?」
「簡単なことだ、この子を必ず幸せにしてくれ! それが結婚の条件だ」
「分かりました。必ず幸せにしてみせます」
愛する彼との結婚を許してもらえたため喜びの声を上げる紗弥加。
「ありがとうお父さん。あたし幸せになるね」
ここでもう一つの条件が浮かんだ孝之。
「すまない拓海君、あともう一つだけ条件を受け入れてほしいんだが聞いてくれるか?」
「何でしょう?」
「最近は結婚式はせずに籍だけ入れるのが流行っているようだが、小さくても構わないから結婚式だけは挙げてほしいんだ。この子にウエディングドレスだけは着させてあげたくてな」
実は同じことを考えていた拓海。
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