【第一章】『プロポーズ』

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「分かりました。実は僕も同じことを考えていました。最近ではドレスを着て写真だけ取るようなカップルもいるそうですが、それでは味気ないと思っていたんです」 ところがここへ紗弥加の声が飛んできた。 「待ってよ! あたし式まで挙げてくれなくてもいいわよ。籍だけ入れればそれで充分」 「そんなこと言うな、費用のことは心配しなくていいから。もし足りなければうちからもいくらかは出してやるから」 孝之が言うが、それに対し拓海は遠慮してしまう。 「いいえそういうわけにはいきません。僕もいくらかは蓄えがありますのでまずは僕たちだけで頑張ってみます」 「そうか、ならそうしてみるといい。どうしても予算に折り合いがつかなかったら連絡しなさい」 「ありがとうございます」  その後年が明けると拓海の実家にもあいさつに行き、正月明けから本格的に式場探しが始まった。  そして様々な式場を廻った後、紗弥加のジューンブライドに憧れるとの一言により式は六月となった。
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