【第二章】『まさかの病』

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 その後も式に向けて衣装や料理など様々な打ち合わせを行う二人であったが、いよいよ結婚に向けて仕事も退職したある日左胸に異常を感じ病院へと向かう紗弥加。  検査の後彼女の病気が判明し、主治医の秋元医師から病名が告げられる。 「奥村さん、奥村さんの病名が判明しましました。落ち着いて聞いてくださいね、左の乳房に腫瘍が見つかりました」 秋元のこの言葉によりそれまでの嫌な予感が当たってしまった紗弥加。 「それって乳がんということですか?」 秋元は俯きながらも応える。 「そうですね、以前は四十代頃から増えてくる病気でしたが、最近では三十代頃から急激に増え始めるようになりました」 「そうなんですね」 「乳がんにもいくつか種類があって、奥山さんの場合抗がん剤によって腫瘍を小さくした後手術によって切除しなければいけないかもしれません」 (何よ手術って、それってこの胸を取ってしまうって事) そう思った紗弥加はそのことをストレートに聞いてみることにした。 「それってこの大事な胸を取るってことですか? 嫌ですそんなの」 必死に手術を拒否する紗弥加は更に続ける。 「これから結婚式が控えているのにそんなことできません。ほかに方法はないんですか?」 「そう言われてもすぐにでも治療に入って患部の切除をしなければ命の保証は出来ませんよ」
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