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さすがに日本人は居ないなと、
コンコースを歩いて行くと、
なんだか周りがざわざわし始めた。
少し先の、天井までの一面ガラス張りの広い窓に、みんな吸い寄せられるように向かっている。
気になって足を早めると、外からの光が眩しいソコには、大きな体をひしめきあい外を眺める沢山の人。
なんだろう?と遠巻きに眺めていると、
今まで明るく晴れていた空はみるみる黒く染まり、
「オー!ノー!」 「カモン!」「オーマイガッ!」という解りやすい悲鳴と共に、
あっという間に暗闇に包まれた。
勿論、空港内は電気がついてはいるが、
――窓の外に突然やって来た黒い影、
そして、壁一面のガラスに滝の様に叩きつけるスコールの異様な音と、
突風に煽られ荒れ狂う、その激しいビジュアルに――
ビル内のライトは不気味に気持ち悪い明るさを放っていた。
ざわめき立つ辺りをよそに、
その時の私はただ呆然と、鳥肌のたつその両腕を静かにさすり、それを傍観していただけだった。
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