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「・・・歩兵隊及び弓兵隊は速やかにかかりなさい。これで軍議を終わります。解散」
エリカがそう宣言すると、レオナルド・ハロルド・エゴン・エルフリーデ・ディルク以外の者は席を立ち退出をした。
「終わったぁ!」
椅子に座ったまま思いっきり背伸びをして、そのまま後ろに体重を掛けるとレオナルドが椅子の背もたれを押さえ
「ひっくり返っても知らないよ。この椅子は軽いんだから」
と呆れた口調で言った。
「ねえ、エルフリーデ」
「はい」
「あなた反対しなかったけど、本当に大丈夫?」
「辺境伯領との連絡線を遮断されない限り問題ありません。そのために騎兵を予備とされたのでは?」
「うん、そうだよ。敵が解囲できるとすれば、こちらが包囲できる条件を崩すしかないからね。崩す手段として考えられるのは、こちらの補給線を遮断することと新たな徴募部隊による解囲攻撃の2つだと思う。だから目の前に敵がいないと言って油断されたら困るんだ。エゴン、意味わかるよね」
「無論」
「よかった。あなたを信頼するよ」
ほっとしたのも束の間
「失礼します」
歩哨との取次の兵が入室した。
「港町のホァンという商人が面会を求めています」
「誰に?」
「公爵閣下です」
「あら」
「よろしいですかな」
ディルクが立ち上がった。
「どうぞ」
「その男は敵軍に出入りして、武器や戦闘奴隷を売りつけている奴ですぞ」
「そうなんだ」
レオナルドの顔を見た。
任せてくれという表情だ。
「じゃあ、ここはディルクと『公爵閣下』に任すわ。お買い物ならお金の話も出るでしょうからエルフリーデ残って」
「わかりました」
「じゃあ、ハロルド、エゴン、上へ行こう」
両手に華ならぬ2人の武人を引き連れて2階の部屋に入ると
「エリカぁ」
リーナが走り寄ってきた。
「はいはい」
屈んで軽く口付けをすると、喜んでいる・・・
「お姉さま、おかえりなさい」
エリザベスはそう言って両手を広げた。これは催促だ。
奧には左からエリザベス、ユリアーナ、イザベルが半円形に座り、その後ろでハンナがイザベルに髪飾りをつけているところであった。
「ベッティーただいま」
エリザベスの唇に軽く唇で触れると満足したような笑みを浮かべた。
あとは勢いでユリアーナに口付けをしてから振り向いた。
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