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目が覚めると、いつもと違った天井だった。
天蓋があり、それに取り付けられたレースの綺麗な刺繍が下がっているのが見えた。
『お目覚めになりましたか?』
声がした方に視線を移すと、トレーに紅茶セットを持ったメイドが居た。
栗毛色した髪の毛を綺麗に纏め上げて、茶系のドレスと白いエプロンをしている。
『おはようございます。清水様』
『あなたは?』
『わたくしは清水様の身の回りの世話を任された香代子と申します』
『私は“客人”として扱われる訳では・・・』
『旦那さまからは“お客様”だと伺っております』
迎えの馬車といい、丁重な扱いを受ける道理はなかった。
こちらは大事な美術品の弁償をしなければならない。
その為に、家庭教師の仕事を一時休まざるを得ず、その間の収入は無い。
『モーニングティーはお飲みになりますか?』
『えぇ、ありがとう』
ベッドから上半身を起きあがらせると、ふんわりと紅茶の良い香りがしてきた。
渡されたカップを受取り、一口飲むと、口の中に香りが広がった。
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