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カウンターへ舞い落ちた紙の頭の部分に『2』と数字が書かれている。これが手数料とされた寿命なのだろう。
次に男は、青の紙を袴田の妻の名前が書かれた赤の紙に重ねた。
すると青の紙が赤の紙に溶け込むように消えていく。そして赤の紙の頭には『10』が浮かび上がった。
目の前で起きた不思議現象に、袴田は最早言葉が出なかった。
「さあ、これでここでの手続きは完了です。こちらを奥さまっの額に当てて下さい。それで受け渡しは完了しまっすので」
男は満足げな顔をしながら、赤の紙を袴田に手渡した。
赤の紙は名前の書かれた人にしか作用しないらしい。
「ありがとうございます!! これで美香は……。早速妻のところへ行ってきます!!」
先程の不思議な現象が袴田に確信を持たせた、これで妻は助かると。
袴田は男に頭を下げると、急ぎ足で店を飛び出した。
「またの御利用お待っちしておりまっす!!」
男の声が店内に響いた。
「さて……今度の人間はどういう人生を送るのでしょうかね……」
どこからか取り出した丸い水晶を眺めながら、男は独り言を呟いた。
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