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三上と話しながらふと見ると、夏木和彦が、メニューを広げていた。
そして、手を挙げ、アリスさんを呼ぶ。
「常連になったら、読めるようになるのかな?」
「大学から近いし、これから通うか」
「うん」
しばらくしてアリスさんは夏木和彦のもとにコーヒーを持ってきた。
なにも不思議じゃない。
じゃあなんでメニューは読めなくしてある?
「おい、大丈夫か?」
三上に呼ばれてはっとする。
「あぁ、ちょっとトイレ」
立ち上がって、そばにあるトイレらしき黒い扉を開けようとした。
「待って!」
アリスさんの叫び声にびっくりする。
「大きな声出しちゃってごめんなさい。そこは店の者しか入れないのよ」
「こちらこそ、すみません。」
僕は、凄くトイレに行きたかった訳でも無かったので席に戻った。
少し経ってから三上が俺の耳元に顔を近づけた。
「あの扉、気にならないか?」
「気になる」
扉の向こうになにがあるんだろうか?そんなに見られたらまずいものなのか?
ますます興味を惹かれた。
「アリスさんが、接客しているうちに、入ってみない?」
「お前、本気か?」
三上が目を見開く。
「リスキーだけど、どうしても知りたい。」
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