第四章

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 「なんで黙って先に学校に来てるわけ?」  「図書委員の当番」  「は? あんたが持たないで、誰があたしたちのカバン持つのよ」  君たちのカバンは君たちが持つべきだと思うよ。  「当番なんてどうでもいいでしょ。どうせ朝の図書室なんて誰も来ないんだから」  おれが来てますが、見えていませんか?  「とりあえず謝れよ」  「すいません」  カウンターの向こうの女子が頭を下げる。小学生みたいに背が低いから、立ち上がっていたことにも気づかなかった。顔は化粧してるみたいに真っ白で、髪はまるで似合ってないおかっぱ頭。  「おい、用があるから、とりあえず教室行くよ」  うっすらと茶髪にしてる女子がカウンター越しに、当番の肩をつかむ。  「あのさ、静かにしてくれないかな、ここは図書室なんだから」  全員の視線がおれに注がれる。  「あと、図書委員を連れてかれると困るんだよね。おれはここの鍵を持ってないんだから。誰が閉めてくれるの?」  女子四人が目を丸くしている。おれがここにいることに、今気づいたみたいに。
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