11人が本棚に入れています
本棚に追加
/87ページ
「なんで黙って先に学校に来てるわけ?」
「図書委員の当番」
「は? あんたが持たないで、誰があたしたちのカバン持つのよ」
君たちのカバンは君たちが持つべきだと思うよ。
「当番なんてどうでもいいでしょ。どうせ朝の図書室なんて誰も来ないんだから」
おれが来てますが、見えていませんか?
「とりあえず謝れよ」
「すいません」
カウンターの向こうの女子が頭を下げる。小学生みたいに背が低いから、立ち上がっていたことにも気づかなかった。顔は化粧してるみたいに真っ白で、髪はまるで似合ってないおかっぱ頭。
「おい、用があるから、とりあえず教室行くよ」
うっすらと茶髪にしてる女子がカウンター越しに、当番の肩をつかむ。
「あのさ、静かにしてくれないかな、ここは図書室なんだから」
全員の視線がおれに注がれる。
「あと、図書委員を連れてかれると困るんだよね。おれはここの鍵を持ってないんだから。誰が閉めてくれるの?」
女子四人が目を丸くしている。おれがここにいることに、今気づいたみたいに。
最初のコメントを投稿しよう!