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時を同じくして、王都サムサラから極く離れた地に、物思いに更ける少年が1人。小高い丘の上に建つロッジの前に薪を積み、そこに火を灯し、寒空の下星を見上げる。今頃城下町で行われいる祝焉祭の事に想いを馳せながら、揺れる灯火に身を寄せていた。
少年の名前はアルベロア・ホークス・レオン。歳は11、幼少の頃より両親を無くし 、今はこの丘で1人で農作物を育て、育った野菜を近くの街に売ることで生計を建てている。そんな困窮した生活の中、遠い地で行われる祝焉祭に参加する事は叶わなかった。近くに転がっている小石を手に取り放り投げる。
「行きたかったな、祝焉祭‥‥‥‥」
時は零時も近い深夜。森も寝静まり、冷たい風が焚き火を揺らす。王都ではそろそろ祭りの終焉を告げる大花火が打ち上がる頃だろうか、そんな想像に耽りながら、その場に行けない焦れったさに溜息をつく。
やがて焚き火からアルミにくるまれた芋を火鋏で摘まみ、その熱さに両手で転がしながらも、開いたそれにかじりつく。口の中に広がる独特の風味、薪の薫りが仄かに香り、少年の身体を暖めた。少年が白い息を満点の星空へと吐き出した時、一閃の彗星がその目に止まる。最初は小さく見えた其は、一際大きな輝きを放ちながら瞬き、やがてその姿を大きくする。
「こっちに‥‥‥‥来てる!?」
少年は驚嘆の表情を見せながら立ち上がり、急いでロッジに駆け込み布団を頭から被る。あんな物が此処に衝突したら只では済まない。青ざめる少年の顔。布団の中で震える少年であったが、時経てども何も起きないどころか、何時にも増して静寂に包まれている。
上空を通過したのだろうか?首を傾げた少年は布団から恐る恐る顔を出し、ゆっくりと扉へと向かう。自らがが閉じた扉を少しばかり開け、その隙間から外の様子を伺う。
隙間から覗き見た外の光景。それは深夜だというのに目映い純白の光に包まれ、シルエットと化していた木々の姿が鮮明に見えるほど目映い光景だった。先刻まで風に揺れていた灯火は消え去り、変わりにその場所で燦然と輝くのは白い一振りの剣だった。
少年はその眩さに目を細めながらも、その剣に魅了され近づいていく。純白に見えた光は、無数の小さな輝きの集合体であり、刀身には3つの六芒星の刻印が施さている。
あまりの雄渾な姿にレオンの手が、思わずともその柄へと伸びる。
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