第1話

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社会人になって初めての寝坊は、目覚ましをかけていたはずなのに寝ぼけた頭でしっかりと止めていたようだ。 ふと目が覚めて、まだ朝方の6時ぐらいかな、なんて携帯をごそごそと手探りで掴み取って見えた時刻は7:35。 えっーと・・・しちじさんじゅ・・35? 二度見した携帯が嘘をついている訳でもなく、うっすらとカーテンから漏れる外からの光はすっかり明るい。 瞬時に寝ぼけた頭が覚醒する。 嘘でしょ?なんて思いはさっさと捨てて、慌ててベッドから飛び起きた。 朝6時半起床。 それから弁当を作り、着替えと化粧を終わらせると、朝食後の少し残った隙間時間にコーヒーを飲む。 それが山野薫(やまの かおる)の朝の流れである。 地元の短大を卒業後、県内に就職をして早7年。 自宅から通うには始発の電車に乗り一度乗り換えをして、そこから更に徒歩30分弱の道程。 駅に自転車でも置こうかと考えたけれど、駅を出て職場方面へはなかなか勾配のきつい坂道が待っている。 そうなると自然と職場へ利便性のよい場所に一人暮らしをするという選択をしていた。
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