第1話

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そんな一人暮らしもすっかり板についていたのに今回の寝坊とは。 原因は分かっているんだ。 昨日は薫の誕生日。 短大時代の仲間がお祝いをしてくれるということで交通手段の多い中心街で集合してのディナー。 みんながみんな、翌日も仕事だと分かっていたので少し早い時間に解散するつもりが、 「誰々が結婚したんだって」 「あの子、もう子供産まれたみたいよ」 「そういえば、あの人をあそこで見かけた」 「職場の人がさー、何々で」 「もう彼氏と別れようかな…」 「あの映画観た?」 次から次へと関連もない話にすり替わり、エンドレスに終わらない展開になるという多くの女性がはまる事態に陥っていた。 その後さすがに二次会を提案する強者は現れなくとも、結局解散したのは夜中の一時を回った頃。 二十歳そこそこでは徹夜で遊びまわっても翌日までも遊ぶ元気があったというのに、近頃は普段運動もしていないせいかめっきり体力がない。 それどころか徹夜はおろか0時を過ぎるとむちゃをしたツケが翌日には必ずやってくる。 そう分かっているのに、楽しさと引き換えで時々こんなむちゃをしてしまうんだ。 その楽しさの方が上回ってしまうから止められないんだと思う。
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