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・・・・・・。
部屋に戻ってから頭も心もフリーズしたのは、今の今まで忘れていた同室のせい。
再びあそこに見えるは、隙間はあるけれど二つ並んだベッド。
錆びついてしまったロボットみたいに体がギギギと音を立て、一つ一つの動きが鈍くなる。
そんな薫に反して斗真の動きは全く無駄がない。
なんで?と、問いかけてみたい。
1人だけ変に意識をしてしまっているのが、恥ずかしくなる・・・し、虚しくなる。
ちらりと斗真の様子を見ると、今度は微かに途切れ途切れに鼻歌まで聞こえてきた。
うん・・・やっぱり虚しく感じる。
「温泉に入ってくるね」
必要な物をささっと小さなバッグへ入れ換える。
心を落ち着かせるため一旦部屋を出よう。
夕飯の前に済ませようと思っていたお風呂は、食事の予約時間に遅れそうだったので食後へずらすことにしていた。
「行ってらっしゃい」
暗闇の海を見つめていた斗真に憎めない和かな笑顔で見送られ、釈然としない気持ちで出て行った。
この虚しさの正体は・・いったい・・。
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