第5話

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部屋へ戻る足取りが重い。 自分の本音に気づいたところで伝えられるはずがないじゃない。 だって、気持ちに気付いた時に一緒に思い出した。 叔母の言葉を。 「・・・・・なんでしょ?しばらく住まわせてあげてくれない?長期間ではないから」 確かにそう言っていた。 "長期間"ってどれぐらい? それよりも、その意味は・・・。 部屋に入ると電気はついたまま。 窓辺に座っていた斗真の姿がなく一瞬ひやりとして、横目にベッドの上に寝転んでいる斗真を見つけて安堵した。 叔母の言葉を思い出したばかりだから尚更。 足音静かに近寄り、閉じた眼の前に手の平を振ってみる。 どうやら眠っているようだ。 ほぅーっと拍子抜けしたような、どうしてそう普通に眠れるんだと詰め寄りたいような。 だけど結局は安心していると薫にも眠気が襲ってきた。 「これぐらいはいいよね?」 もう一つのベッドに横になった薫は、隣のベッドからはみ出していた斗真の手を繋いで眠りについた。 すっかりと寝入った夜中に、目が覚めた斗真がぎゅっと薫の手を握り返したことを知らずに、とても幸せな夢を見ていた。
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