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手を繋いだままの大水槽前。
斗真が見たいと言っていたジンベイザメは、ゆっくりと水槽の形に沿って泳いでいた。
傍には小さな可愛い仲間たちが守ってもらうかのように寄り添い泳いでいる。
実は薫も目の前で見たのは初めてで、2人揃って「おぉー」なんて思わず声を漏らした。
同じ反応に互いに顔を見合わせて笑うと、幼なじみの距離が一気に恋人らしい雰囲気に変わった気がした。
だけど薫には、時折見えた斗真の仕草が気にかかっていた。
顔を背け何かに耐えているような、そんな表情。
薫に見られまいとしていたのかもしれないが、水槽のガラスに写ったのが見えていた。
行きは会話の途切れなかった車内は、帰りは斗真がよくしゃべり、薫は相槌を打つばかり。
気まずいわけじゃない。
だけど斗真の様子が気になってしまい、無意識に押し黙る状態になっていた。
当の本人はよく笑い、よくしゃべる。
薫にはそれさえもカラ元気に思えてしまう。
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