最終話

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・・・あれ? でも、この御守ってどこで買ったものだっけ? 財布の中に御守を入れてあることは分かっているのに、いつどこで買ったのか思い出すことができない。 斗真と関わった物はボタンしか残らないはずだった。 ソファに飾られたジンベイザメのぬいぐるみも消えた。 なぜか、あの旅行の時、斗真と一緒に買ったお揃いの御守だけ消えずに残っていた。 薫の強い願いに応えてくれたのだろうか。 誰も知ることはできない・・・それはきっと斗真以外。 「うん、絶対に失くさないよ」 心の中で告げる。 ・・・誰に宛てて? 何か心当たりがありそうなのに、その心当たりのかけらは掴めそうになかった。 それでも心のどこかは知っている。 そんな確信が持てたから、薫の気持ちは晴れやかだった。
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