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さっきまで明るかった空が少しずつ暗くなってきている。
「お空も歌ってるね。ザァザァ歌いながら、ゴロゴロって大声出してるみたい。僕は怖くないよ」
またふいに頭に浮かんだこの言葉を、どこで聞いて誰が言っていたのか今回はハッキリと思い出した。
子供の頃に病院で出会った斗真くん。
そういえば、斗真くんの誕生日って昨日だったよね。
そんなことまで思い出す。
「遅れちゃったけど。…斗真くん、誕生日おめでとう」
自然と口から発していた。
待ち構えていたように降り出した雨が窓ガラスにあたる。
ポツポツとした音が聞こえてきて、薫は笑った。
まるで斗真くんが「ありがとう」と答えてくれた気がしたんだ。
だって、この雨は機嫌良く歌っている証拠だから。
ボタンと御守が入った財布もカバンに忘れず入れ、薫も機嫌良く外へ踏み出した。
一歩、また一歩。
誰かと並んで歩いているような不思議な気分を味わいながら。
ー Fin ー
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