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「今回も、ダメだったのか…」
目下世界崩壊中である。またダメだった。今回も、世界の崩壊を阻止することが出来なかった。
一人の少女がそこにいた。後方には無限に広がる漆黒の無が、前方には空中分離するかのようにバラバラになり、光の粒子を振り撒きながら消滅していく世界。本来は神がいるべき場所に、その少女ーーー〔アリア〕はいた。
「また、『やり直し』か…」
アリアは再びそう呟き、正面に手をかざす。
すると、その手に輝かしい光が集い、複雑な魔法陣のような紋様が周囲に描かれはじめた。
少しの沈黙の後、力強く叫ぶ。
『リンカーネイション!!』
手に集いし純白の光は、世界(だったもの)を包み込む…。バラバラになっていた大地は再び集い、一つの形を見せた。漆黒の空に浮かぶ巨大な球体…。
そう、地球である。世界は本来のあるべき姿を取り戻した。
世界を修復したのではない、世界の時間を巻き戻したのだ。
「…。また、最初から…」
そう言ってアリアは、『そこ』から姿を消した。アリアは行く、初期化された世界の日常へと。この繰り返しの螺旋に終わりが訪れることを、心の中で祈りながら…。
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