第1章 再び日常へ

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小柄な体である。高校生なのに、身長は…146㎝しかない。そしてこの白くて長い髪、外国人と間違われることもしばしば。大きな瞳に長い睫毛、瞳の色は何故か淡い空色、生まれつきこんな色だそうだ。そして少し下に視線をずらすと…、それはもう見事な絶壁が…。いや、これ以上はやめておこう。 まあ、支度はできているので問題ない。次は朝ごはんを食べるべきだと思う。私は重い足取りで自室から出る。私の部屋は二階にあるので階段を下り、一階の台所に向かった。 冷蔵庫を一見すると、食材は一通り揃っていることが確認された。とりあえず、朝ごはんの定番メニュー『味噌汁と卵と白ご飯』を手慣れた手つきで作る。両親は海外に出て仕事をしている、らしい。いつ頃から両親のいない生活を送っていたのか…、それはもう忘れてしまった。 「…いただきます」 私は一人呟き、食べ始める。我ながら上手く出来ていると思う。特にこの味噌汁は二つの味噌を混ぜ合わせて作っているので、なかなか美味しい。ズゥーっと、喉に味噌汁を流す。染み渡る味だ…。卵は、定番のスクランブルエッグ。味付けは特にしていないが、朝ごはんにはちょうどいいと思う。 「…ごちそうさま」 手を合わせてそう言い、席を立つ。一人でもこういうことは欠かさずにやっている。誰かが聞いていなくてもやるべきなんだ。要は気持ちや精神の問題だね。そう考えながら流しに皿を持っていく。一人なので洗う量は少ない。皿を洗わずに溜めておくのをあまり好まないため、皿はすぐに洗うようにしている。 しばらくして洗い終え、次の行動に移る。 今日は高校の入学式がある。まあベタと言ったらベタなんだけど……、物語は始まりが大事だと思うんだ。そう、例えありきたりな始まり方やデジャブを感じさせるテンプレートでもいい。はじめの第一歩を踏み外したら、この先の未来が曲がってしまうかもしれない───と私は別の世界の理に触れながら誰に頼まれたわけでもなく説明する。
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