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『アリアちゃーん!じっかんだよーーーっ♪』
家の外から声が聞こえた。音源から推測するに、玄関先からだろう。
まあ、そんな推測なくとも一瞬で私には分かるのだが……。なにせ小学の頃からの付き合いだ、いつもこんな調子で私を迎えに来てくれる親友の声を忘れるはずが…忘れられるはずがない。
彼女の名は桜星舞耶(ようせい まいか)。人懐っこくて明るい彼女は学校のある朝、必ずこうして迎えに来てくれる。学校のない日もよく家に来て、友達の少ない私とお話したりゲームしたりして遊んでくれる。
いつもいつも、彼女の光に助けてもらっていた…
この娘が私のそばにいてくれるから、いてくれたから……私は頑張れる。
この娘だけは、何としても守り抜く。
私には前の世界の記憶がほとんどないので、これから始まる日常は予測不可能。前はどうやって世界が滅んだのか、それさえわからない。脳の負荷を軽減するために記憶が消去されているのだ。
まあ、また一からやればいいだけの話なのだし、そんなに危惧することでもないと思うんだ。
玄関に行き、扉に手を掛ける……
扉を開けると、眩い朝日が差し込んで来た。
そうして、私の日常は再び始まった。
「───おはよう、舞耶」
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