迷惑な客

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あれから数日たった水曜日の朝。 葉子はレジにたっていた。あくびがとまらない。 急に来れなくなったパートさんの代わりである。社員である葉子は、こういう時にいいように使われるのだった。 無意識に商品をスキャンしていく。レジに写し出される金額を言い、お金を受け取りおつりを渡す。 目をつぶっていてもできそうな退屈な仕事だった。 「眠そうだね」 ふいに声をかけられて、葉子ははっとお客の顔を見た。 どこかで見たことがあるなぁ、と目の前の男をぼんやり見ていて、急に思い出した。 スパイス棚で遭遇したスパイス男だ。 今もしっかり胸元をあけたシャツを来ている。今日はネイビーだった。 ……どこまでも気障な格好である。 その男が、レジで買い物をしながら葉子に話しかけてきたのである。 何というか……嫌味のない、さりげない爽やかさにうっかり笑顔で男を見返した。 クレ何とかスパイスとか何とかソーセージを買って行った。ええと……確か、ジャンバラヤ! そうだ、ジャンバラヤを作るとかなんとか言っていた。 「ジャンバラヤはどうでしたか?」 内心で思い出してよかったと思いながら、葉子は聞いた。
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