迷惑な客

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その日はずっとレジだったので、昼休憩に入るころには、葉子はすっかりくたびれてしまった。 お弁当を食べて一休みしていると、店長がやって来る。 「ご苦労様、長澤君」 葉子をねぎらってくれる。 店長は、細い瓶に入ったうっすらピンクの飲み物を葉子に差し出した。 「新製品。置いてくれって。飲んでみて」 葉子は早速びんの蓋をあけ、一口飲んでみた。 ピーチの香りが漂い、ほんのり甘い。 「お茶ですか? 不思議な味ですね」 「ニューヨークあたりで流行ってるらしいぞ。売れると思うか?」 「いくらなんですか?」 「一本350円」 「350円!? 売れるんですか?」 こんなヘンな味付けするぐらいなら、普通のペットボトルのお茶の方がはるかに美味しい気がするのだが。 しかも値段は2倍以上だ。 「上の住人は買ってくだろ」 「ですねー」 葉子も同意した。
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