序章

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超肥満女子中学三年生。 教室で「きもめがね」女子トイレで、お小遣い恐喝、下駄箱に毛虫大群、体育授業後は制服隠し、等々。 教師も含め、地域・学校ぐるみで、いじめられの毎日。 ただし、生まれつき盲目・歩けない車椅子生活の妹だけが、唯一の味方。 両親は、死別。親戚も音信不通。役所からも見放された。 本人は、学校帰りに、デパートの清掃深夜バイトと、生活保護で生計維持。 この生活は、既に十年以上が経過。 姉妹は、もう限界点。 妹が言う。 「お姉ちゃん、もういい、もういいよ」 姉が答える。 「わかった・・・」 ふたりは、幼い命を捨てる決心をし、大型ダンプカーが行き交う、信号のない交差点へ向かった。 姉妹が、覚悟を決め、ふたり目を閉じ、交差点に突入しようとした瞬間。 「誰か助けてー!」 交差点の向かい側から女性の声。 見ると、幼稚園くらいの女の子が、三輪車で、姉妹が覚悟を決めて突入しようとしていた交差点に、進入してしまった。 「ブーッ! ブーッ!」 高速大型ダンプカーのクラクション。 周りのひとたちが「キャーッ!」「とまれーっ!」と叫びまくる。 その全員が、最悪の瞬間を予測したとき、 「えーぃっ!」 あの超肥満の姉が、捨て身で、三輪車の少女に向かった。 「無理だっ!」 周囲全員が思った。 だが、奇跡は起こった。 超肥満の姉が、瞬時に三輪車を抱きかかえ、母親の元へ押し返したのだ。 おかげで、三輪車の少女は、転倒しただけの軽傷で済んだ。 だが、超肥満の姉は、無残にも・・・。 「お姉ちゃん、どこ? ちっちゃい子は、大丈夫? ねぇ、お姉ちゃん・・・」 多数のパトカー、救急車が、次々に到着。 その中に、見慣れない黒塗りの乗用車が一台。 「駒元奈良未さんの妹さんですね。お名前は、安佐未さんですね」 「はい、どちらさまですか。お姉ちゃんは、無事ですか?」 2066年7月20日 火曜日。夏休みが始まってすぐの、夕方の惨事だった。
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