始まりの日

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始まりの日

8月13日。ついにこの日が来た。 手紙には「8月13日 10時 台場公園」とか書いてあったことをなんとなく覚えている。自宅からそう遠くない距離だが、この胸の高鳴る感じが抑えきれない。いま、8時…早いけど出るか。 全ての準備を済ませた。あとは靴を履くだけだ。自分の愛用しているスニーカーを履いて、玄関を出る時だった… 「あら、拓人?あなたが外出なんて珍しいわね。何かあったの?」 うー、もっと早く出とけばよかった。出来れば母さんとは話したくなかったな。 「うんちょっとね…いろいろあるんだ」 なんて誤魔化す。 「あら、そうなのね。外出するのはいいことよ。家でゲームをするよりは、ね?」 (うっせーな!ずっとゲームしてて悪うござんした!!) 「へいへい。んじゃ、急いでるからもう出るよ。」 「はい、いってらっしゃい。」何も返さずに出てやった。ふう、疲れるわ。 拓人は振り返ることもなく、前を向いて歩き出した。 台場公園に近づくにつれ、人が多くなってるような気がする。気がする、じゃないな確実に増えてる。よくよく見てみるとポケットやら鞄やらに黒い物体が見える。 (ああ、あの封筒か。一応持ってきてるんだけど、必要なのか?まあ、この際こんなこと考えなくても、いいか。) 視界に、台場公園が見えてきた。それと同時に白いホールもあることに気づく。 (きっとあの中に、行けばいいんだろうな。) 拓人は足を速めていった。 もう目の前には白いホールが見える。家を出てから初めて立ち止まった。 (つ、ついに来たのか。やばい、なんだこの感じは…緊張とわくわくとが混じった感じ…。と、とりあず中に入るか。) ホールの入り口付近に黒服の女性が立っていた。 (もう、入り口か。一応封筒を出しておくか…) そんな考えを遮るように黒服の女性が 「一瀬 拓人様ですね?今からユーザー登録を行いますので、少々お時間をください」 と話しかけてきた。そのまま続けた 「そのまま左奥にお進みください。」 言われた通りに左奥へと進む… (ん?ユーザー登録ってここでやんのか。そもそも今回の情報が無いから何も分からない状況なんだが…つーか、ちょっとは説明してくれよ。ま、とにかく左奥に…)
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