始まりの日

2/3
前へ
/9ページ
次へ
左奥にもさっきの女性と似たような人がいた。 「あのう、すみません。ユーザー登録ってここで合ってるんでしょうか?」 「はい、ここでございます。それではユーザー登録を始めましょうか。まずは向こう側、要するに転送先でのお名前を決めてください」 (うーん、どうしようかなぁ。プレイヤー名ってことだろうなぁ。こういうのって結構悩むんだよなぁ。) 「…拓人、カタカナのタクトでお願いします」 「了解いたしました。以上でユーザー登録は完了いたしました。お次は中央ステージまでお進みください。」 (こんなんで終わりかよ。やっぱ適当だな。) 言われた通りに中央ステージまで進んだ。 (やっぱ人が多いなぁ。でも思ってたより少ないかも。) すでに中央ステージにいたのは10人程度。後ろにはユーザー登録中の人もいれば、登録を終えてこっちに向かってくる人もいる。 (中央ステージで何をやんのかなぁ?) などと疑問が浮かぶ。しかし後ろにはまだまだユーザー登録を待つ人がいる。 (これは結構待たされそうだなぁ。暇つぶしに何か持ってくれば良かったかなぁ?) -二時間後- 「はぁ、流石にもう始まってくれよ…もう限界だ…」 椅子もなくずっと立ちっぱなしの二時間。そうそう外にでない拓人にとってまさに生き地獄だ。足の痛みやら腰の痛みやら、周りの声の五月蝿さでストレスも溜まってくる。色んな意味で拓人は限界を迎えようとしていた。そんな時、会場中にアナウンスが鳴り響いた。 「ただいま全ユーザーの登録が完了しました。それではTPGのオープニングセレモニーを挙行いたします。それでは、TPGの総監督者 天能 学(てんのう まなぶ)より挨拶をいたします。」 「んな、ことよりさっさとゲームをよこせぇ!!」 「何時間待たされてると思ってんだぁ!!さっさとしろやぁ!!」 などと声が上がった。しかし、天能 学はそんなことを気にすることもなくしゃべり続けた。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加