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アポロの意見に異論なんてない。与えられる仕事も俺とは違い、誰でも出来ることではなかった。
愛想も良い為、高い知識を評価され上流階級の者から指名で仕事を受けていたほどだ。
地面に這いつくばり嗚咽する金色の髪が風になびき、俺は根拠など何もない言葉をひたすらかけていた。
「大丈夫だ、大丈夫」
どれ程時間が経ったのか、気付けは随分と自分の影が伸びてきた。
「アポロ、そろそろ寝る場所を探さないとマズイ」
「……うん」
ごしごしと顔を拭き、力ない声とは裏腹に右手の拳をぎゅっと力強く握っていた。
「あ、これ……? そこに落ちてたんだ」
拳を広げると手にはピンクの小さな包み。布で作ったのであろう縫い目があり、手のひらに収まるほどの包みに紐が縫い付けられており、更に『おまもり』と刺繍までしてあった。
大量の子供達の死に御守り――。
何かヒントになる気がしたが、それ以上考える気にはならず「そうか」とだけ返すとアポロは眉を下げたまま口角を上げた。
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