残された手紙

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「取り合えず寝る場所確保だ。海沿いに戻るか」  俺達は迎えの船が来る港を目指し、海沿いを進んできた。海沿いには高い岩山がそびえ、所々えぐれ洞穴のようになっていた。 「そうだね、それに1度落ち着いて荷物を確認したいな」  バックパックには、ごちゃごちゃと荷物が入っていたが全て確認する時間はなく、そのままになっている。  「とりあえず落ち着いたら、これからのこと話そうぜ」  そう言って地面から拾った小石を、何の気なしに軽く投げた。  ――ポチャン。 「……ん? 水か? ラッキー! 顔洗いてぇ……あ、あったぞ!」  至近距離までこないと気付かないはずだ。地面より一段低い水溜まりは、手前にある草に隠されるような造りになっていた。 「まってノヴァ! 危ないから近寄らないで!」 「何いってんだよ、顔くらい洗おうぜ」 「こんな所の水辺、動物も利用してるはずだよ、危ないから!」  アポロの制止を振り切り、服の長袖を捲り上げた。
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