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「本当か!? 俺もだよ!」
興奮ぎみにそう告げると、栗色の髪が俺の顎にぶつかってきた。
「一緒に冒険に行けるね!」
「そうだな!」
俺達は、何度か同じ仕事場になる内に意気投合していた。
上流階級の者の姿が見えなくなると悪態をつく姿がまるで同じで『悪態仲間』といった感じだ。
家主がいない屋敷にそんな二人が揃っていて掃除するはずもなく、冒険の話に花が咲く。
そしてふと、豪華なシャンデリアが煌めく広いロビーの壁に貼られている地図に吸い込まれるように目を留めた。
東西南北に、それぞれ島が4つ。南にある島が上流階級の住む土地で、残り3つの島は中流階級が住む島だ。
その4つの島は、ひし形に均等に距離を保ち、その島々の廻りを囲むように、4つの細長い大陸がある。
その大陸が、下流階級の者が住む場所だ。
4つの島と4つの大陸で成されている地図を眺めていると、ニコルは聞いたこともないような機嫌の良さそうな声で呟いた。
「ねぇ、ノヴァ。冒険ってどこに行くのかなあ!」
行動範囲の限られている俺達の胸が騒ぐのは、当然のことだった。
「知らねぇ! 知らねぇけど楽しいに違いないぜ!」
俺達はその後、締まりのない口から希望と夢に溢れた会話を交わしニンマリと瞳を合わせた。
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