1、命の宣告

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去っていったレミーさんを見送って、 僕は窓の外に目を向けた。 今は初夏、緑の葉が生い茂った隙間から、 キラキラと木漏れ日が降り注いでいる。 僕の名は、ラタ・ド・ルシティア……。 この辺では少々有名な貴族の三男坊だ。 本当だったら、寄宿学校に入学して卒業出来る歳のはずなのに、 生まれた時から心臓の病を持っているせいで、 殆ど外にも出たことがなかった。 すると、コンコンっと部屋をノックする音が聞こえた。 「入るよ」 「アルト兄様!」 理性的なグリーン色の瞳に優しさを兼ね備えた光を携えて、 アルト兄様が現れた。
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