26人が本棚に入れています
本棚に追加
去っていったレミーさんを見送って、
僕は窓の外に目を向けた。
今は初夏、緑の葉が生い茂った隙間から、
キラキラと木漏れ日が降り注いでいる。
僕の名は、ラタ・ド・ルシティア……。
この辺では少々有名な貴族の三男坊だ。
本当だったら、寄宿学校に入学して卒業出来る歳のはずなのに、
生まれた時から心臓の病を持っているせいで、
殆ど外にも出たことがなかった。
すると、コンコンっと部屋をノックする音が聞こえた。
「入るよ」
「アルト兄様!」
理性的なグリーン色の瞳に優しさを兼ね備えた光を携えて、
アルト兄様が現れた。
最初のコメントを投稿しよう!