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オリンピックで走っていて彼は妙な空気を
感じていた。何故か緊張感が少なく真剣
勝負の雰囲気ではなかったのだ。暑かった
からか。確かにマラソン向きの気象条件
ではなかった。途中棄権する選手もいつも
より多かった。だが、何かが違う。
オリンピックが商業主義の後にどこかへ
行こうとしているように洸一には
感じられた。
それでもしばらくメダルから遠去かって
いた日本人が金メダルを獲って、国内は
祝福に湧いていた。
浜崎洸一は走る度に勝つ無敗のマラソン
ランナー。低迷する日本のマラソン界の
救世主。陸上競技ファンの間でそのような
声が聞かれるようになった。
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