黒翼の罪

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2人は全速力で飛び、夜明け前までに城の近くの城下町へと辿り着いた。 セスはマントを羽織り、黒翼がバレないように気を付けながら目立たない宿屋で宿泊することにする。 「今日は取り敢えず休もう。 あなたの存在がバレることは無いから、心配しなくていい。 それじゃ。」 そう言ってコヨミはベットに丸くなる。 おいおい、いくらなんでも不用心過ぎないかと思っていると…… 「言っておくけど、私に何かしようだなんて思わないことね。」 「興味無い。」 「あっそう。」 すぐに寝息が聞こえてくる。 さてと、俺も休むとするか。 セスもベッドに転がると、吸い込まれるようにして眠りに落ちた。 痛い…… 苦しい…… 真っ暗闇の中、俺は背中の激痛に悶える。 やめてくれ…… もう、翼なんて欲しくない…… だからお家に返して…… パパとママの所に帰りたい…… これは俺の記憶か? それともただの夢か? 真っ暗闇だった世界が、徐々に見え始める。 幼い俺がうつ伏せに寝台の上に寝かされている。 俺はそれを上から見ているような、夢独特のビジョンだ。 周りには医者と思われるものが5名ほど。 ここで、違和感に気付く。 俺の背には翼が無い。 だが、周りの医者には白い翼がちゃんとある。 どういう事だ? 疑問に思っていると、医者の1人に見覚えがある事に気付いた。 赤髪…… まさか…… その医者はコヨミだった。
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