黒翼の罪

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どうしてコヨミが? ここで、さらに音声も聞こえてくる。 「術式終了。 この実験が成功すれば翼人史上初の快挙だ。 人間が翼人になる事は出来るのか出来ないのか。 実験体は私が人間界から翼を欲しいと願った子供を連れてきた。 これまでの実験結果から、大人では適合出来ずに移植直後に死んでしまうが、子供では数日間は生き延びる事が分かっている。 かと言って、赤ん坊では体力持たないので適合以前の問題だ。 これまでの実験結果から、4歳程度が1番適合しやすく体力も持つと考えられる。 よって、この実験で最後にしようと思う。 いくら人間だからと言って、私はこの手で殺し過ぎた。 いくら私でも、これ以上は犠牲者を増やしたくはない。」 「コヨミさん……」 医者の1人が声をかける。 俺は人間だったのか…… コヨミが俺を翼人にしたのか…… 俺に黒翼を移植したせいで、俺は…… ところが、移植されていたのは白い翼だった。 白い翼? どういう事だ? 次のシーンで、どうやら次の日に変わる。 俺はいろんな管に繋がれている。 意識は無いようだが、全身から汗がしたたり、とても苦しそうにしている。 そして、次の瞬間俺は目を覚ます。 「うわああああああああ!!」 泣き叫ぶ幼き自分。 それを見ている自分。 これはきっと、過去に起こったことなのだろう。 俺の失われた記憶が夢となって出て来たのだろう。 俺は俺を見ていることしかできない。 そして、白い翼がみるみるうちに黒く染まっていく……. 「これは……」 黒翼は翼を移植された人間にのみ現れる罪の翼だったのか…… 俺は、初めから翼人などではなくただの人間だったんだ…… 人間が翼人になろうとした罪。 それが黒翼の真実だったのか。
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