黒翼の罪

16/24

2人が本棚に入れています
本棚に追加
/24ページ
すぐに中庭には兵士たちが集まってきた。 皆、セスの翼と黒翼のドラゴンを見てたじろいでいる。 「あれはまさか……」 「黒翼のドラゴンだと……」 兵たちの頭をよぎったのは黒翼の予言。 「この世の終わりだ!」 セスは叫び始めた兵の1人に素早く近づき、その剣を奪った。 「これは借りてくぞ。」 「舐めやがって!!」 別の兵士がすぐにセスに切りかかってくるが、セスは軽くあしらった。 「セスって剣術の才能あったんだ……」 コヨミが感心していると、 「いや、剣を持つのはこれが初めてだ。」 思わぬ返事が返ってきた。 「ドラゴンの能力を舐めるな。 お前たちの動きがスローモーションに見えるし、身体能力だって比べ物にならない。 剣術なんか関係ない。」 「やっぱりチートだな。」 コヨミが感心していると、 「おや、騒がしいと思ったらセスとコヨミではないか。」 唐突に声が聞こえた。 この声は…… 声の主は王だった。 セスは声を張り上げて言った。 「偽りの王よ、今ここで大人しく敗北を認めるがいい!」 王に向かって剣を向ける。 「偽りの王だと? 戯言を言うな。 私は翼人の頂点に立つ者だ。」 「民を洗脳してまで王になりたいか。 偽りの玉座で威張り散らすのも今日までだ。 俺の記憶を返してもらおうか。」 「おやおや、やはりコヨミは裏切ったか。」 王はちらりとコヨミを見る。 「どうしたものかな。 私は戦闘向きではないのだよ。 代わりに私の騎士団と相手してもらおうかね。」
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加