黒翼の罪

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~18年後~ 「父上! 急患です!! 俺だけではどうしても治療しきれません。」 全力で飛んできたのか、息が切れ切れだ。 「俺が行く、案内しろシス。」 セスそっくりの顔に、コヨミそっくりの赤い髪。 翼はセスとは違って白い。 「こちらです。」 横たわっているのは大怪我をした翼人だった。 「守護聖獣にやられたんだな。」 セスはそう言うなり医療道具を取り出し、シスと共に治療に取り掛かる。 治療が終わった時、この翼人が言った。 「俺は隣国がこの国の覇権を狙っているという噂を聞いて、王妃の命令で探っておりました。 噂が事実である事を掴み、戻ろうとした矢先の事でした。 付けられていたのです。 俺は5人の暗殺者の攻撃を受け、命からがら逃れて来ました。 これが証拠の品です。」 セスはそれを受け取り、中身を読んだ。 「シス、お前はここに残って治療を続けろ。 もう、お前1人で大丈夫だ。 俺は行かなければならない。」 「父上!!」 シスが叫んだ時にはセスは黒翼の翼をはためかせて空へと舞い上がって行った。 そして、上空に突如黒翼のドラゴンが現れる。 「父上……」 セスはドラゴンへとまたがり、隣国へと向かう。 この国の民を戦争に巻き込んではならない。 俺がなんとかしなければ。 わずか数十分後に、セスは隣国の王城に勢いよく降り立つ。 兵士たちが集まる中、セスは言った。 「俺の名はセスだ。 この国の王に会わせろ。」 「誰だ? この私に謁見を求める無礼者は。」 のこのこと現れた王はセスと黒翼のドラゴンを見て青ざめる。 「セス王!!」 全てを察したらしい王は、次の瞬間セスに跪いて言った。 「セス王。 この度は遥々遠くからおいで下さりなんと申し上げたら良いか……」 遥々遠くから、と言っても黒翼のドラゴンにしてみればお散歩にもならない距離だ。 「これを見ろ。」 セスは例の紙を王に渡した。 「大変申し訳ない! これは確かに私の息子の計画だ。 だが、この計画を私は飲むつもりはない! あのバカ息子はあなたの恐ろしさを知らんのだ。 進軍などこの私がさせない。 あなたの国に戦争を仕掛けたところで勝ち目なんてない。」 「分かればいい。 だが、万が一私の国に手を出して見ろ。 その時はこの国が滅びるからな。 それと、私の国の民に手を出すな。 今回は民の命があったから見逃してやろう。 だが、次は無いと思え。」
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