黒翼の罪

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「やはり、黒翼の力に耐え得ることは出来なかったか。」 セスはさっきまでとは違う実験体を見つめていた。 適合者など、人間には存在しないのか。 覚醒者にはなれないのか。 「実験体No.4027か……」 これまでの実験でそれだけの数の人間を殺してきたという事だ。 別に後悔などないが、これが罪なのだと言う事は分かる。 黒翼を移植された人間は急激な体の変化に耐えられずに死ぬ。 だが、それを耐えれば不老不死が手に入ると言われれば人間はいくらでも実験を繰り返す。 「セス、またこんなところにいたのか。」 研究員の一人が俺に声をかける。 人間の名前など覚える気は無いが、こいつの名前だけは覚えている。 「コヨミ。」 この研究所唯一の女性研究員だ。 真っ赤な長髪をポニーテールにしていて、強気で男勝りな女だ。 「前にも聞いたが、どうして覚醒者を作ろうとする。 お前の本当の目的は何だ。 もう数え切れないほど試行錯誤し、限りなく人間に適合しやすくなっているはずなのに、未だに適合者はゼロ。 こんな事を続けても覚醒者など永遠に現れはしない。 黒翼に不老不死の力がある事は証明されているが、人間に適合しないとなればいつかはこの実験も中断される。」 「だからどうした。 人間は不老不死という欲望に逆らえはしない。 人間はこの実験が成功するまで続けるだろう。 いや、成功した後も……」 「その通り。 だから人間は……」 コヨミのふところから銃が出てくる。 「あなたの黒翼だけをいただく事にした!」 パーンッ!
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