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「そんな話を信じると思うのか。」
まるで、あの研究所が俺の牢獄だったみたいじゃないか……
黒翼を持って生まれた俺の罪。
翼人は翼を失わない限り死ぬことは無い。
逆を言えば、翼を失えば不老不死は無くなり、翼人はただの人間同然となる。
孤独と言うのはなんとも恐ろしい罰だ。
悠久の時を、仲間一人いない一人ぼっちで過ごさなければならない苦しみは、それを体験したものにしか分からない。
「信じてもらえなくていい。
けど、もうこんな無意味な実験は辞めるべき。
私がいる。
予言なんてどうでもいい。
全てを終わらせよう。」
「それは、どういう意味だ。」
「あの研究所ごと消してしまえば、私たちを知るものはいなくなる。
あなたは自由になれる。」
「そんな事……」
いや、人間ごときが例え100人集まっても翼人1人を倒す事は出来ないだろう。
なぜなら……
「まさか、あれを使うのか。」
「翼の守護聖獣。
全ての翼人に宿りし翼の化身。
翼人それぞれ守護聖獣は違うし、その能力も違うけれど、私はあなたの守護聖獣を知っている。
あまりにも有名だから。
あなたの守護聖獣なら、研究所を消す事なんて造作も無いはず。
それとも、守護聖獣の事まで記憶を消された?」
守護聖獣……
俺の守護聖獣は何なんだ…….
実験で人間が黒翼に堪えられなかったのには、守護聖獣の力に堪えられなかった事もあったのか……
記憶操作はどこまでされているんだ……
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