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フランスで、私と月渚をお世話してくれて、「護衛役」をしてくれた彼女……パリでの別れ際、ぎゅっと抱きしめてくれた彼女の大きなおっぱいで顔がもみくしゃになりながら涙を流したら、涙で服が染みになった。それを見て彼女が言ったのだ。「ダメよ、ミルクをこぼしたら」……彼女は、泣いて笑って、そう言った。そう、だから……
私だって、そうだ。
泣いたかと思ったら、笑って、また泣いて、その理由を考えるよりさきに自分の感情がおもてにあふれていく。きっと、そんなこともある……そう思ううち、すこしは気持ちが落ち着いてきた。
「やっぱり何か、知っていることがあるのね?」
月渚のママが私に尋ねた。
私は、声に出すことなく、こくっと首を縦にふってうなずいた。
「フランスで、何かあったのね」
それはもう「尋ねる」というより、その言葉を自分にたしかめるような口調だった。
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