花色の君へ「前編」

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あの日はとても暖かい普通に平和な日だった 「あの日からもう1年か……」 俺は車椅子を両手で動かしながら病院の裏にあるフラワーガーデンに向かった フラワーガーデンはその名の通り花の庭 色んな花が綺麗に咲いている その真ん中にたっている大きな桜の木 「去年と同じだ……」 そう呟いて俺はその木をボーッと見つめていた するとその桜の木の下に1通の手紙を見つけた それは俺宛に書かれた手紙だった その手紙を読んで俺は涙を零した そして涙を拭い、近くのベンチの横に車椅子を止めた そしてふと、思い出す もう一度だけでいいから会いたい君の事を…… 去年、俺はこの大きな病院に入院した 先天性の心臓病で医師にはもう長くないと言われていた だから人生そのものを諦めていた どんどん自分の身体は狂っていってあげくには歩けなくなってしまった 毎日車椅子で人生がつまらなく思うようになってしまった そんなので今さら「生きたい」なんて思うはずなくて…… 周りの人に可哀想やなんや言われても何とも思わなかった なのに…… あの日、俺は会ってしまったんだ 俺の人生を変えるたった一つの希望の花のような君に……
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