2度目の放課後―佐々木美寿々―

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「じゃあ、あなたの好きな女性のタイプは?その好きなタイプと合致する人を好きになればいいんじゃないかなぁ…?」 私自身の恋愛経験値がないから、上手く答えることができない…。 しばらく向こうからの答えがない。 もしかして、私の返答がおかしかった? 私は不安でいっぱいになった。 すると、 “…………うーん、自分の夢を応援してくれる人かなぁ…” と相当悩んでいそうな声で答えが返ってきた。 「が、外見とかのタイプはないの?」 “俺、中身重視なんだ。中学の時に、学年1もてていたかわいくてスタイルの良い女の子に告白された時に散々な目にあって…。それ以来、女の子は中身重視に決めているんだ” 「………………」 この人、別にもてない訳じゃないんだったら、その中から選べばいいんじゃない? 「……自分から好きになりたい訳なんだね」 “…そうなんです” 「あのさ、好きな人ができると、その人を見るとドキドキするらしいよ。そういう経験はない?」 “1度もないんだ。クラスの皆とは仲がいいけど、そういう対象で見たことないんだ” 意外と難しい悩みだなぁ…。 「こういう話はあなたと同じ男性と話した方がいい気がする……」 “え、シナノキさんって女の人なの?” 「そうだよ!男っぽい喋り方だった?」 “いや、木って男も女も関係ない気がしていたから…” 「私…」 いけない、この人は私がステンドグラスだと思っているんだから、本当のことを話してはいけないんだ。 “どうしたの?大丈夫?” 「……大丈夫。もし私が人間だったら、あなたのタイプだったかもね。あなたの夢を応援しているから」 “クスッ。本当、残念だなぁ。あ、そろそろ帰らなきゃ。じゃあ、また明日” 「うん。また明日ね」 ステンドグラスの向こうからはもう声は聞こえなくなった。 あの人はどんな人なのか、ちょっと気になり始めてきてる自分がいた。
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