3度目の放課後―佐々木美寿々―

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……文化系女子には2階から1階までを全力で走るっていうのはかなり無茶なことなのかも……。 残暑が厳しい8月末ということもあり、美術室に着いた私は息切れ汗だくだった。 私は真っ直ぐステンドグラスに向かい、右手を前に出す。 「ハァハァ…。ごめんね。もういないかな…?」 もしかしたら、もう帰っちゃった……? 返事がないので、不安になる。 約束を破っちゃった……。 悪いことをしたという思いでいっぱいになった時、 “……待ってたよ” 彼の声が聞こえた。 “……俺、さっきからずっと話しかけていたのに、無視されて寂しかったよ。どうして返事をしてくれなかったの?お願いだから…………、正直に教えて欲しい” 静かな声で言われた。 悪いことをしたという気持ちと、彼が放った最後の言葉がズシンと私の心にのしかかってきた。 ……やっぱり、正直に話そう。彼を悲しませたのは事実だから、正直に答えよう。 私はそう決意した。 「……ごめんなさい。私はステンドグラスじゃないんです。一美術部員なんです。あなたと同じように悩んでいて、あなたの悩みを聞きたいと思って、ステンドグラスの振りをしていました。本当にごめんなさい。」 少しの沈黙もがとてつもなく長い時間に感じた。 「あなたの悩みをバカにしたくて聞いていた訳じゃないんです。…だけど、あなたを騙していたのは事実なので……。もう話しかけません。本当にごめんなさい」 私はステンドグラスから手を離そうとした。その時、 “待って!!”
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