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ステンドグラス越しから大きな声が聞こえた。私は思わず固まった。
かなり怒ってる……?
私は泣きそうになった。
だけど、
“正直に話してくれて、ありがとう。”
ステンドグラス越しから優しい声が聞こえた。
“……俺、君がステンドグラスじゃないって薄々気付いていたんだ。……でも、シナノキさんのふりをして悩みを聞いてくれて嬉しかったから、そのままでもいいやと思っていた。だけど、今日も話せると思って話しかけても、君は全然答えてくれなくて……。寂しくて切なくて、ついキツい口調になっちゃった。ゴメン……”
「あなたが謝ることはないんです。私が悪いのだから」
“本当は君の顔を見て、キチンと謝りたいんだけど、俺は悩みを持っている自分にまだ恥ずかしさがあって…。ねぇ、これからもステンドグラス越しで話をしてもいいかな?”
「もちろん、いいですよ!私だって面と向かって異性と話すのは恥ずかしいので……。それに私、今日汗だくで…。汗だく姿見られたくない……」
私はホッとしたら、更に汗が出てきて焦った。
“OK!じゃあ、これからもステンドグラス越しに話そう!じゃあ、早速聞いていいかな?何で汗だくなの?”
私はハンカチをスカートから取り出し、汗をふく。
「あぁ、そうだった。私、今日見つけた部活のことをあなたに話したいと思って」
“部活?”
「今日、有名なバンドの曲を歌っている2人の男の子を見たの。彼ら、毎年文化祭で歌っている部活動の子達で…。そこにあなたが入部したら、一緒の夢に向かう仲間が増えるんじゃないかなと思ったの」
“文化祭で部活動の子達が歌っている……?”
「うん。バンド部だと思う」
“……ふーん。…………ちょっと気になるから調べてみてもいいかな?”
彼の興味が出てきたみたいで、私は嬉しくなる。
「調べてみるの、いいと思う」
“ちょっと調べてみるから、とりあえず1週間後の放課後に報告にくるよ。もちろんステンドグラス越しでね”
「分かった。じゃあ、私も自分の悩みが少しでも減らせるように努力してみるね」
“今度は君の悩みも聞かせてよ。話したくなったら、でいいんだけどさ”
「分かった。また気持ちの整理がついたら話すね。じゃあ、また1週間後の放課後に会おうね」
“うん、またね”
こうして私達はまた別れた。でも、前よりうんと距離が縮まった気がする。1週間後がとても楽しみになった。
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