3度目の放課後―佐々木美寿々―

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ステンドグラス越しから大きな声が聞こえた。私は思わず固まった。 かなり怒ってる……? 私は泣きそうになった。 だけど、 “正直に話してくれて、ありがとう。” ステンドグラス越しから優しい声が聞こえた。 “……俺、君がステンドグラスじゃないって薄々気付いていたんだ。……でも、シナノキさんのふりをして悩みを聞いてくれて嬉しかったから、そのままでもいいやと思っていた。だけど、今日も話せると思って話しかけても、君は全然答えてくれなくて……。寂しくて切なくて、ついキツい口調になっちゃった。ゴメン……” 「あなたが謝ることはないんです。私が悪いのだから」 “本当は君の顔を見て、キチンと謝りたいんだけど、俺は悩みを持っている自分にまだ恥ずかしさがあって…。ねぇ、これからもステンドグラス越しで話をしてもいいかな?” 「もちろん、いいですよ!私だって面と向かって異性と話すのは恥ずかしいので……。それに私、今日汗だくで…。汗だく姿見られたくない……」 私はホッとしたら、更に汗が出てきて焦った。 “OK!じゃあ、これからもステンドグラス越しに話そう!じゃあ、早速聞いていいかな?何で汗だくなの?” 私はハンカチをスカートから取り出し、汗をふく。 「あぁ、そうだった。私、今日見つけた部活のことをあなたに話したいと思って」 “部活?” 「今日、有名なバンドの曲を歌っている2人の男の子を見たの。彼ら、毎年文化祭で歌っている部活動の子達で…。そこにあなたが入部したら、一緒の夢に向かう仲間が増えるんじゃないかなと思ったの」 “文化祭で部活動の子達が歌っている……?” 「うん。バンド部だと思う」 “……ふーん。…………ちょっと気になるから調べてみてもいいかな?” 彼の興味が出てきたみたいで、私は嬉しくなる。 「調べてみるの、いいと思う」 “ちょっと調べてみるから、とりあえず1週間後の放課後に報告にくるよ。もちろんステンドグラス越しでね” 「分かった。じゃあ、私も自分の悩みが少しでも減らせるように努力してみるね」 “今度は君の悩みも聞かせてよ。話したくなったら、でいいんだけどさ” 「分かった。また気持ちの整理がついたら話すね。じゃあ、また1週間後の放課後に会おうね」 “うん、またね” こうして私達はまた別れた。でも、前よりうんと距離が縮まった気がする。1週間後がとても楽しみになった。
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