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彼はもしかしたら、一緒の夢を追う仲間を見つけるかもしれない。
そうなったら嬉しいなぁ…。私は今日の放課後も1人、美術室でスケッチブックとにらめっこをしている。やっと9月になったが、まだまだ暑い。
「今日も佐々木1人か」
美術室と美術準備室を繋ぐドアが開き、美術部顧問の夏目先生が顔を出した。あともう少しで定年という夏目先生はとても穏やかな先生だ。
「まぁ、無理はするなよ。まだ日にちはあるから焦らずにな」
「ありがとうございます…」
「じゃあ、俺会議だからいなくなるけど、時間いっぱいまでいていいからな」
夏目先生はそう言うと、また美術準備室へ戻っていった。
「焦らずに……か」
そうは言っても、先輩後輩は作品ができているのに、私だけできていないんだもん…。適度にサボりたい人達ができていて、真面目に部活をやっている私の方ができていないなんて……。
こう思ってしまう自分が本当に嫌。そう思いたくないのに、心の隅に小さくある黒い思いが段々表に出てくる。
はぁ……。彼と話したいなぁ…………。
私はスケッチブックからステンドグラスへ目線を移す。
私の悩みはいつになったら、解決できるんだろう……。
私は思わず、深いため息をついてしまった。
彼と話せない日は放課後がかなり長く感じてしまう。
彼と話せる日まで、あと6日。
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