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私はスケッチブックを持って3年7組の後ろのドアの前に立っている。教室の中から話し合いの声や時々音楽が聞こえる。
……中に入ってもいいのかな?何て言って入ればいいかな?
私は教室の中に入るのをためらった。
ちょっと様子を見よう……
私はドアの窓から、教室の中の様子を見た。中には知里ちゃんと「I love dance」とバックプリントされた黒いTシャツを着た3人の女の子達がいた。
ここも文化祭の準備を頑張っているなぁ……。いいなぁ……。
私は何だか羨ましくなってきてしまった。そして、その思いと同時に、
自分の部活の文化祭準備ができていない私なんかが、ここに参加していいのかなぁ…。
という思いが出てきた。
どうしよう……。
と私が悩んでいると、
「あ、美寿々!来てくれたんだ」
私に気が付いた知里ちゃんが、声を掛けながらドアを開けてしまった。そして私の右手を引いて、私を輪の中に入れる。
「この子が振り付けの絵を描いてくれる2年の佐々木美寿々さん」
知里ちゃんに紹介され、私は遠慮ぎみに頭を下げる。
「来てくれてありがとう!全校の皆に向けて、振り付けのプリントを作らなきゃいけなくて……。写真を撮って載せようとしても、黒白で見づらいから困ってたんだよ。助かる~!あ、私ね、橘って言います」
赤いメガネをかけた女の子が私に話しかける。
「私は堀です。よろしく。で、早速お願いしたいんだけど、いいかな?」
髪をハーフアップにした女の子が私に紙とシャープペンを渡してくれた。私はスケッチブックを使っていない机の上に置くと、
「じゃあ、こっちに座ってもらっていいかな?」
堀さんは私を席へ案内した。堀さんに引かれた椅子の上に私は座る。
「今年はね、manatoの「dream magic」からスタートするんだよ。今、その曲の振り付けを考えていたんだ」
橘さんがニコッと笑って説明する。
「AメロBメロは基本的な動きにして、サビの部分は自由にしようと思っているの」
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