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キーンコーン、カーンコーン。
「やっと、授業が終わったぁ!」
俺、倉石愛音(くらいし まなと)は6時間目の数学の授業が終わり、思わずガッツポーズをした。すると、
「こら、倉石。終わりの挨拶をしていないだろう」
数学の田辺先生に叱られてしまった。
「あ、すみません」
俺が謝ると、周りの皆はクスッと笑った。その笑いを断ち切るように、当番の佐藤聡香が
「起立、礼」
号令をかけ、授業を終わらせた。田辺先生がいなくなり、賑やかになる教室。
「なぁ、愛音。今日はサッカー部に混じって遊ばねぇ?」
同じ帰宅部の中島透が俺に話しかけてきた。
「うーん、ゴメン。今日はやめておくよ。ちょっと放課後残りたいんだ」
「何、デート?」
「そんな訳ないよ。正直俺、そういうのよく分からない」
「かわいそうな奴め」
「それはお互い様だろっ」
「はは、そうだな。じゃあ、また明日な」
「うん、また明日」
透に手を振り、俺はカバンの中からウォークマンを取り出し、音楽を聴き始めた。
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